『全員死刑』
まいりました。勢いが凄い。
作り手が「どんなもんじゃい!」と挑発している感じがすごい良かったです。
頭の中に手をつっこまれてグルグルかき回されました。
冒頭から「この映画はフィクションであり、実在の人物、事件とは一切関係がありません。」と大嘘かましてきます。
個人的には、小林さんと同郷であることから、本作で使われている方言がとても生々しく感じられました。ヤンキーほど、なまりや方言が強いのはなぜなんだろう。それと、ヤンキー独特のよくわからない論理で押し切られる感じ、怖いよー。
い監督・小林勇貴さんのトークショーをyoutubeで観ましたが、ものすごく魅力的な方でした。強面で、謙虚で、とても知的で、熱っぽい。色々ひっくるめて「怖い」人だと思いました。
これからも突き進んでいく人ですから、おすすめしたいです。
『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』
さて、魅力的な予告編に惹かれ、観てまいりました。
ただ、予告編が良かっただけに、観る前からの懸念がありました。
・clown(ピエロ)の風貌を完全に明かしていたこと。
・びっくりさせるだけの演出が多いのではという懸念。
この二点の懸念は当たっていて、びっくり箱が連続するような映画でした。序盤に少年たちがそれぞれピエロと出会ってしまう所は、だんだんイライラしましたし、あまりに連続して見せられるので、笑ってしまいました。
トラウマや恐怖を抱える少年たちが、それらを乗り越え成長するというストーリーは同じスティーブン・キング原作『スタンド・バイ・ミー』などでも見られる多くの人にとってたまらなく好まれるものでしょう。
本作の本質的な部分はこちらです。
特に印象的なのが、唯一の女の子べバリー。
彼女が浴室で、洗面台から逆噴射する大量の血にまみれるシーンがこの映画で最も印象に残りました。これは、かなり分かりやすく”生理”のメタファー。
これまたスティーブン・キング原作の『キャリー』の血まみれシーンを思い出しました。
最後に疑問点。
本作の舞台の田舎町が「呪われた町だ」と劇中で明かされるのですが、これは結局どうなったのでしょう。いや、こういった地方都市の業の深さといったものは大好物なのですが、、。少年たちの成長ストーリーであれば、この設定がなぜ必要なのか気になりました。
言語って面白い『メッセージ』(16')
知的好奇心を刺激する映画に出会った。
『メッセージ』は言語学者の主人公が、ある日突如現れたエイリアンの発するメッセージを読み解こうと奮闘する話だ。
「言語が思考や人格を規定する」という仮説がある。日本人が英語を話す時、別の人格になるという。
この映画を観た後、外国語を学びたくなった。
異なる言語を習得することで、異なる世界、異なる自分になれるのではと期待してしまうのだ。
登場人物みんな変わり者で、困惑してしまった。『ガープの世界』(82')
登場人物みんな変わり者で、困惑してしまった。
ガープを演じるのがロビン・ウィリアムズでなければ観るのが辛かったかもしれない。
この『ガープの世界』、なんとなくファミリームービーかと思っていたら、なんとテーマは「色欲」。
それを最も端的に体現するのが、主人公ガープの母親だ。
まず主人公ガープの出生のいきさつが凄い。かつて野戦病院で働いていた母親が、寝たきりの兵士の上にまたがり、妊娠する。そして生まれてきたのがガープなのだ。
ガープの母親は「色欲」に嫌悪感を抱いている。娼婦に取材して、本を書き、女性権利運動のアイコンになる。
一方、結婚したガープは、まさに「色欲」により、取返しのつかない事件を起こしてしまう。この事件がかなり凄惨なのに、案外あっさりと乗り越えられてしまうのにまた困惑。「色欲」に関して何らかの決着がつくと思いきやそんなこともなく、これまた「え?」という結末を迎える。
物語としても、倫理的にも「これでいいのかな?」と思わざるを得なかった。
僕もこのエイリアンに魅入られた男の一人だ『スペースバンパイア』(85')
バンパイアといっても、血を吸うわけではなく、人間の魂を吸い取るエイリアン「吸精鬼」が登場する。
その吸精鬼を演じるのがマルチダ・メイという女優。
清々しいほど堂々とヌードを見せてくれる。作中、彼女を一目見てしまった男は、抗いようもなく魅入られてしまう。彼女は男にキスをして魂を吸い取る。
作中では、人類の危機をもたらす悪役なんだけれども、まあこんなエイリアンが来ちゃったら抵抗できないでしょう。