地球儀

映画を紹介します

悪夢と地続きの世界が描かれる『ゲット・アウト』(17')

 

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※現在公開中の新作であり、若干のネタバレを含むので注意してください。

 

 

悪趣味だと思われるかもしれないが、こういう映画が好きだ。

まるでイーライ・ロス監督作『ホステル』のようだと思った。

『ホステル』は東欧を旅するバックパッカーが、快楽殺人結社に拉致され、殺されそうになるところを抜け出そうと奮闘する話だ。

 

共通するのが、主人公が「異世界」に身を置いてしまい、なんとも言い難い「不吉な雰囲気」がだんだんと高まっていくというところ。

 

『ホステル』では、アメリカ人の主人公が、旧共産主義国の東欧にいく。そこは、いまだに活気がなく不穏な雰囲気におおわれている。アメリカから来た若者にとってはまさに「異世界」だ。

一方、『ゲット・アウト』では、主人公は黒人の青年が、彼女(白人)の実家に泊りに行く。実家に着くと、そこでは黒人がメイドや庭師として働いており、主人公はどことなく嫌な印象をうける。そして開かれた親睦会では、裕福そうな白人の中高年しかいない。主人公はさらに居心地の悪さを感じる。不吉な雰囲気がどんどんと高まっていく。

そして、ついに明かされる周囲の人物たちの正体に、観ている者は戦慄する。

 

『ゲット・アウト』がさらに深みをもっているのが、主人公の過去のトラウマが掘り起こされ、常に付きまとうという点だ。