ジャズに漂う哀愁は映画とよく合う『ブルーに生まれついて』(15')
どうしても「自分はジャズのことには詳しくないですが」とエクスキューズしたくなります。本当にその通りなのですが、どうもジャズって敷居が高いような感じがするんです。その分、憧れもあるのですが。
本作『ブルーに生まれついて』は実在するトランぺッター、チェット・ベイカーの伝記映画です。ドラッグ中毒になり落ち目だった彼が、恋人に支えながら音楽で再起を図る様を描いています。
チェット・ベイカーを演じるのが、イーサン・ホーク。実在の人物を描い
た映画を観るとき、本人と演じる役者がどれくらい似ているかがすごく気になります。
こちらがチェット・ベイカー本人
こちらが演じるイーサン・ホーク
まぁ、似ていなくもないという感じですね。
ただ、見られる限りでチェット・ベイカー本人が歌っている映像を観たところ、歌い方や雰囲気は似ていました。
この作品『ブルーに生まれついて』はチェット・ベイカーの楽曲"Born To Be Blue"からとられているのですが、この曲、作品の物語と完全にマッチしていて、もう哀しい哀しい気持ちになるんです。彼のどうしても克服できない弱さも、彼を信じて支える恋人との軋轢も、哀しい。しかし失うものも覚悟の上での彼の最後の行動は、やはり自分は音楽でしか生きられないんだいう彼の究極の選択を見た気がします。
最後に彼が歌う"Born To Be Blue"は、凄まじい哀しさを観る者に訴えます。